April 17, 2017

本音で書かれたガイドブック/『一度は泊まりたい有名宿』



岩佐十良『一度は泊まりたい有名宿 覆面訪問記(朝日新書、 2013)

かつて魅力ある温泉特集をガンガン組んでいた、雑誌『自遊人』の編集長・岩佐十良さんが、取材ではなく個人名で予約して、普通に宿で過ごして書かれた原稿ばかり。

以前泊まったことのある修善寺のあさばや、野沢温泉の住吉屋も紹介されていて、「そうそう、そうだった」と共感することが多かったのでした。

宿選びのガイドとして役立つのはもちろんのこと、ありきたりの宿紹介と違って、読みものとしても面白いです。

数年前、この本を読んで訪れたのが、
信州は鹿教湯(かけゆ)温泉の山水館

部屋で供される手作りパイ、
木曽から移築した古民家、
秋のたっぷりキノコ鍋、
シンプルなアメニティなどなど……にひかれて行ってまいりました。

アメニティグッズはすがすがしいくらい一切無駄なものがありませんでした。
部屋も、お風呂にも。

よぶんなものがないのは、最初ほんのちょっと落ち着かないけれど、
じわじわとそれが心地よくなってきました。
この体感は、不思議と忘れがたいものとなりました。

あさばや住吉屋のときのように、納得の宿 。
「来てよかった」「また来たい」と思ったのでした。